遅延ポテンシャルに対する考察1

1.グリーン関数法

2.遅延ポテンシャルの導出(準備)

3.遅延ポテンシャルの導出(積分)

4.解に対する考察

すぐに遅延ポテンシャルに行く前に電磁気で出てくる微分方程式を解くときの解法の一種、グリーン関数法についてみていきます。

1.グリーン関数法

微分方程式を解いて、境界条件を考えることで関数を求める機会は多くあります。特に、電磁気で出会うポアソン方程式もその一種でしょう。


$$\color{black}{\Large{ \nabla^2 \phi =-\dfrac{\rho}{\epsilon_0} \tag{1} }}$$


このような問題を一般化して解こうとしたときに出てくる関数がグリーン関数です。



ここから以下の任意の微分方程式(2)を解こうとします。(変数は任意としてグザイでおいてます)

ここで左辺にある筆記体のLは任意の微分演算子を意味します。fが求めたい関数。Sが任意の関数です。問題によって、L , S が異なるということです。先ほどの式1においては、Lがラプラシアン、Sが電荷密度を定数で割ったものにあたりますね。それらを任意のものとして問題を解こうとしています。


$$\color{black}{\Large{ \mathcal{L}f(\xi)=-S(\xi) \tag{2} }}$$


この式(2)を解こうというときに用いるのが以下のグリーン関数Gです。


$$\color{black}{\Large{ \mathcal{L}G(\xi)=-\delta(\xi) \tag{3} }}$$


解くべき微分方程式の微分演算子とグリーン関数にかかる演算子はおなじものです。グリーン関数は、解くべき微分方程式によって変化します。どんな微分方程式にも言えることは、グリーン関数に作用するとδ関数に変化する、ということですね。

この(3)の時点では、グリーン関数も微分方程式に組み込まれており、具体的に求められていません。ですが、(2)の時よりも、(3)式の方が解きやすいのです。

グリーン関数の変数はもともとの問題の微分演算子が何次元か、なにに作用するのか、によって異なります。

グリーン関数はあとで求めます。では、グリーン関数(3)をいったん認めて、(2)の微分方程式を解いてみましょう。

まず、以下の等式(4)はδ関数の性質から容易に導かれます。


$$\color{black}{\Large{ S\bigl(\xi\bigr)=\int_{all}S\bigl(\xi’\bigr)\delta\bigl(\xi-\xi’\bigr)d\xi’ \tag{4} }}$$


(4)を(2)に代入すると、


$$\color{black}{\Large{ \mathcal{L}f\bigl(\xi\bigr)=-\int_{all}S\bigl(\xi’\bigr)\delta\bigl(\xi-\xi’\bigr)d\xi’ \tag{5} }}$$


ここで、δ関数があるので(2)で定義されたグリーン関数と置き換えることができます。


$$\color{black}{\Large{ \mathcal{L}f\bigl(\xi\bigr)=\int_{all}S\bigl(\xi’\bigr)\mathcal{L}G\bigl(\xi-\xi’\bigr)d\xi’ \tag{6} }}$$


ここで、微分演算子Lの作用する変数は積分と別ですので、積分の外に出します。


$$\color{black}{\Large{ \mathcal{L}f\bigl(\xi\bigr)=\mathcal{L}\int_{all}S\bigl(\xi’\bigr)G\bigl(\xi-\xi’\bigr)d\xi’ \tag{7} }}$$


したがって、


$$\color{black}{\Large{ f\bigl(\xi\bigr)=\int_{all}S\bigl(\xi’\bigr)G\bigl(\xi-\xi’\bigr)d\xi’ \tag{8} }}$$


と、求めるべき関数がグリーン関数を用いて示すことができた!

また逆に、この式に微分演算子を作用させれば、もともとの微分方程式を満たす。



まとめとして、(2)のような微分方程式を解きたいとき、(8)が示すように、グリーン関数を求めれば、求めるべき関数が分かる。グリーン関数を求めたいので、もとの微分方程式ではなく、(3)の微分方程式の問題におき変えることができる。

これがグリーン関数法である。

次回はこのグリーン関数法を適用して、遅延ポテンシャルを求めます!