1.宇宙の膨張の観測事実
2.アインシュタイン方程式の宇宙の膨張解
3.観測事実との対応関係
4.宇宙年齢を計算(C++)
1.宇宙の膨張の観測事実(ビックバン理論のはじまり)
1916年、アインシュタインはアインシュタイン方程式を発表しました。これは、重力に関する理論であり、質量のある物体は空間をゆがませる。そして、重力というのは、空間のゆがみからくる力であるとする理論でした。この方程式を解くと自然に宇宙が膨張する解が出てきます。しかし、アインシュタインは宇宙は不変である、定常宇宙を信じていたのでこの解には納得することができませんでした。
(実際、翌年に宇宙項というものを加えて膨張を打ち消す論文を出しているそうです)
しかし、この後膨張宇宙を観測で確認した人物がいます。エドウィン・ハッブルをご存じでしょうか、彼はハッブルの法則と呼ばれる銀河の後退速度に関する法則を定式化しました。この発見は、宇宙が膨張していることを観測から実証するものでした。アインシュタイン方程式の膨張解の正しさを立証したということですね。
現在では、ハッブルの法則はハッブル・ルメートルの法則という名称になっています。
ハッブル・ルメートルの法則(旧称ハッブルの法則)
ハッブルの法則は上記のように、天体の後退速度\(v\)、ハッブル定数\(H_0\)、天体までの距離\(D\)という三つのみで定式化されたシンプルな法則です。
ハッブル定数を計算するためには、星までの距離と星の後退速度の二つの観測が必要です。まずは、後退速度の測定方法から考えていきます。
後退速度\( v\)の観測
一般に、星を観測する時には光を使って観測しますよね。星が出す光(波)を観測するわけです。ここで、星が後退しているということは、波の出発点が移動していることを意味します。普段の生活の中で、波の出発点が移動している例としてよく挙げられるのは音(波)のドップラー効果です。実は、光もドップラー効果を起こします。後退している星の出している光の波長は以下の図を見れば伸びることがわかると思います。

光のドップラー効果
これが、光のドップラー効果ですね。波長の伸び\(\Delta \lambda\)を見て、後退速度を観測することができるのです。
天体までの距離\( D \)の測定
これには、さまざまな方法があります。中でも、特定の超新星爆発をつかった方法について、書いていきます。
・Ⅰa型超新星爆発の方法
空を毎日観測していると、今まで星が無かったところに星ができたようにみえることがあります。昔の人は、これを新星と名付けました。実際は、新しい星ができたわけではなく、もともとあった星の核融合が進んで、明るくなり、見えるようになっただけです。その新星の中にも、ひときわ明るくなる星があります。それを超新星と言います、これはまた新星とは光るメカニズムが違って、星の死ともいわれる超新星爆発が原因です。
超新星爆発は、観測によって種類分けされています。大きく分けて、Ⅰ型Ⅱ型があり、その中で、距離の測定に用いられるのがⅠa型の超新星爆発です。この超新星爆発は、とても明るい上に、爆発するときの明るさがいつでもほぼ同じです。
例えば、比較的近いところでこの超新星爆発がおきたとします。比較的近いところであれば、年周視差の方法などでその超新星爆発までの距離を測ることができます。これによって、超新星爆発の(真の?)明るさを求めることができます。(遠ければ遠いほど光が弱くなりますよね) また、このⅠa型超新星爆発は、どこで起きても同じ明るさになってくれるので、そこでの見かけの明るさから、その超新星爆発が地球からどれくらいの距離にあるのかを算出できるわけです。
基準となる\(r=1\)のときの(真の?)明るさ\(I_0\)が分かれば、距離と見かけの明るさとの対応関係ができる。
ほかにも、セファイド変光星を使った方法などがありますが、精度よく求めることができず、いろいろな方法で求めたものを総合して、算出しているようです。
ハッブル定数を求める
このようにして、星の後退速度とその星までの距離を求めることができました。ハッブル・ルメートルの法則は、これが比例関係にあることを示しています。遠くにある星ほど速く地球から遠ざかっていくということです。
(1)式より、ハッブル定数が出てきます。現時点で、ハッブル定数は
くらいの値となっています。これは、現時点、”今の時刻”でのハッブル定数であるので添え字に0がついています。
観測事実から、宇宙が膨張していることを確認できました。では、理論ではどのように膨張を示しているのか次回に見ていきます。